糖尿病
網膜症・腎症・神経障害の三大合併症を
引き起こす可能性があります!
糖尿病とは、血糖値(血液中に含まれるブドウ糖の濃度)が慢性的に高い状態にある場合を言います。
健康な方であっても食事をする、糖分を含むジュースを飲むなどすれば、血糖値は上昇するようになります。ただ上昇した血糖値というのは、インスリンが分泌されることで、細胞に取り込まれてエネルギー源となっていくので、それによって血糖値は再び元の数値に戻るようになります。
血糖値が上昇したままの状態(糖尿病)になっても、初期の頃から自覚症状がみられるわけではないので、多くの患者さんは発症に気づくことはなく、放置の状態となることが大半です。対応が遅れると重篤な疾患に罹患することもあるので、健康診断などの結果から血糖値が高いとの指摘を受けたら、例え何の症状がみられなかったとしても一度は当診療科をご受診されることをお勧めします。
糖尿病の種類、糖尿病の検査について、糖尿病の治療、糖尿病の三大合併症についても紹介いたします。
当院では、他院で行われた健康診断で糖尿病と診断された患者様の治療や管理にも対応しています。患者様のライフスタイル(生活背景)を詳しくお聞かせいただいた上で診療にあたります。
糖尿病の種類
糖尿病には、1型糖尿病と不摂生な生活習慣が原因による2型糖尿病、ご自身の病気が原因でおこるその他の糖尿病があります。
1型糖尿病
ひとつは、インスリンを作成する膵臓のランゲルハウス島にある内分泌細胞のひとつであるβ細胞が主に自己免疫反応によって破壊され、それによってインスリンがほぼ分泌されていない状態を言います。比較的若い世代に発症することが多いとされていますが、全世代でも見受けられます。
2型糖尿病
2型糖尿病は、日本人の全糖尿病患者さんの95%以上を占めると言われています。このタイプは主に不摂生な生活習慣(肥満、過食、運動不足、喫煙、多量の飲酒、過剰なストレス など)によって、膵臓が疲弊してしまい、それによってインスリンの分泌量が少ない、あるいは量が十分でもインスリンそのものの効きが悪いといった状態がみられるようになります。
その他の糖尿病
内分泌疾患(甲状腺機能亢進症 など)、肝疾患、膵外分泌疾患などの病気によって引き起こされる二次性糖尿病、妊娠している女性は高血糖状態になりやすいことがきっかけとなる妊娠糖尿病(家族歴、肥満体型、高齢妊娠の方に起きやすい)というのもあります。
糖尿病の検査について
糖尿病発症の有無を診断する際に行われるのが血液検査です。
具体的な数値は、以下の通りです。
- ①早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上、もしくは75gOGTTの2時間値が200mg/dL以上、あるいは随時血糖値が200mg/dL以上の場合
- ②HbA1c値が6.2%以上の場合
- ①と②、ともに数値が上回っていることが確認されると糖尿病と診断されます。また①か②、どちらかのみ該当する場合は「糖尿病型」と判定され再検査となります。
その結果、やはり①と②のどちらかだけ該当する場合は、糖尿病と診断されます。
糖尿病治療について
1型糖尿病の患者さんでは、インスリンがほとんど分泌されていないので、体外からインスリンを補充していく、インスリン注射を行っていきます。
2型糖尿病の患者さんは、まず生活習慣の見直し(食事療法、運動療法)から行われます。
生活習慣の見直しだけでは、血糖値のコントロールが難しいという場合は、併行して経口血糖降下薬による薬物療法も行います。それでも改善しないという場合は、インスリン注射を行っていきます。
糖尿病の三大合併症
について
糖尿病の三大合併症には、 糖尿病神経障害と糖尿病網膜症、糖尿病腎症 があります。
各々自覚症状が乏しいため、症状が出た場合には、随分と病状が進んでいるので注意が必要です。
糖尿病神経障害
糖尿病の合併症の中で最も早く出てくるのが糖尿病神経障害です。
中心となる足や手の末梢神経障害の症状の出かたはさまざまで、手足のしびれ、怪我や火傷の痛みに気づかないなどです。
そのほか筋肉の萎縮、筋力の低下や胃腸の不調、立ちくらみ、発汗異常、インポテンツなど、さまざまな自律神経障害の症状も現れることが特徴です。
糖尿病網膜症
眼底にある網膜という部分の血管が悪くなり、視力が弱まります。
最悪の場合には失明に至る怖い病気です。
糖尿病腎症
尿を作る腎臓の、糸球体という部分の毛細血管が悪くなり、だんだんにおしっこが作れなくなります。
すると人工透析といって、機械で血液の不要な成分をろ過して、機械でおしっこを作らなければなりません。
週に2~3回、病院などで透析を受けるようになるので、日常生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼします。
現在、人工透析が必要になる原因の第一位がこの糖尿病腎症です。